「和を以て貴しとなす」の意味と読み方!由来と原文と例文と使い方!
「和を以て貴しとなす」 意味は、和を何よりも大切なものにするという意味。
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「聖徳太子」の十七条憲法の冒頭の言葉らしい!
Contents
「和を以て貴しとなす」とは?読み方と意味を詳しく!
「和を以て貴しとなす」
読み方は「わをもってとうとしとなす」です。
意味は以下の解説。
人と人とがむつまじく親しくすることを貴いものとする。
(ことわざを知る辞典)
人々が協調することの重要性を述べたことば。
(故事成語を知る辞典)
上の解釈にプラスして以下のことも重要な解釈です。
- ➀:和を大事なものとして争わないようにしましょう。
➁:話し合いの場はわだかまりを持つことなく冷静に行うことが大事だ。
➂:上も下も(立場が)和を以て話し合えれば成し遂げられないものは無し。
この三つが融合された意味と解釈します。
以下その原文と由来です。
「和を以て貴しとなす」の語源と由来のお話!
「和を以て貴しとなす」
の語源の由来は
- ・聖徳太子の十七条の憲法説
・孔子の論語からの説
・それぞれの漢語での原文の解説
について解説。
「和を以て貴しとなす」は聖徳太子の十七条憲法由来説!
「聖徳太子」
は以下のようなかた。
聖徳太子(しょうとくたいし)は、飛鳥時代の皇族・政治家。用明天皇の第二皇子で、母は欽明天皇の皇女・穴穂部間人皇女。
叔母の推古天皇の下、蘇我馬子と協調して政治を行い、国際的緊張のなかで遣隋使を派遣するなど中国大陸を当時統治していた隋や朝鮮半島から進んだ文化や制度をとりいれて、冠位十二階や十七条憲法を定めるなど天皇を中心とした中央集権国家体制の確立を図った。
(wikipediaより)
以前一万円札にもなった方で、歴史的にとても有名な方。
うえにある
「十七条憲法」
の第一条に書かれています。
ちなみに「十七条憲法」とは以下です。
厩戸皇子(聖徳太子)によって作られて施行された日本初の憲法で、17条からなる法文。
官僚や貴族に対する道徳的な規範が示されており、行政法としての性格が強い。思想的には儒教を中心とし、仏教や法家の要素も織り交ぜられている。
(wikipediaより)
原文は以下(第一条)。
「一曰。以和爲貴、無忤爲宗。」
- 以和爲貴:和を以て貴しとなす。
無忤爲宗:逆らうことなきを旨とせよ。
「無忤爲宗」をもう少し詳しく・
無忤爲宗:逆らうということもあろうが、よく議論しなさい。そして諍いを起こさぬように。
まとめると
「一つのことを決めるに、よく議論してみなが納得の上で、事を進行させなさい。」
こう言ってるように感じます。
此方の語源説は、そのまんまですので、何ら議論の余地がないかと思いますが、しかし、元は次の孔子の説話をまとめた
「論語」
の中の一節を引用したとの説もあります。
以下に続きます。
「和を以て貴しとなす」は孔子の論語による説!
「論語」
解説は以下。
『論語』(ろんご)は、孔子とその高弟の言行を、孔子の死後に弟子が記録した書物である。
(wikipediaより)
そのなかの一説。
「和を貴しと為す」
という記述
これは、「有子(有若)」と「曾子」の言葉として記載。
原文は以下。
「禮之用和為貴」:礼は之和を用って貴しと為す。
論語には、弟子の「有子(有若)」の言葉として記載されています。
ところで、この論語が日本に入ってきたのは、実は仏教よりは早いんだそうです。
- 論語:513年に百済より五経博士(ごきょうはかせ)が渡来して伝えたとあります。
十七条憲法:604年
当然「聖徳太子」は、その論語を読まないはずはないと思います。
「これは素晴らしい考え方!」
そう思ったかもしれません。
なので、この論語の一節を引用したもの・・そういう説も根強いです。
どちらにしても、素晴らしい考え方で、人を成長させる言葉に感じます。
*もう一つ「礼記(らいき)」にも同じ記述があります。
「禮之以和為貴」(礼は之これ和を以て貴しと為す。)
四字熟語での「和を以て貴しとなす」の記述は「以和爲貴」!
「和を以て貴しとなす」
の四字熟語の表現は、十七条憲法その1の冒頭そのまんまです。
「以和爲貴」
この時代に、こんな憲法を制定したとは、驚きです。
しかし、いつの時代でもこの考え方ができないから、あえて条文に記す。
そうも言えると思います。
「言うは易く、行うは難し」
は言うまでもないこと。
この時代も、そうだったのではないでしょうか。
「和を以て貴しとなす」の「貴し」と「尊し」どっちが正しい?
「和を以て貴しとなす」
の「とうとし」ですが
「尊し」
と表現されているものも多数見受けられます。
言葉としては、どうやらどちらでもよいようですが、いずれ原文は
「一曰。以和爲貴、無忤爲宗。」
です。
「貴」
が日本書紀に記されてる原文の漢字。
此方が正しいと思うのですが、さて?
「和を以て貴しとなす」の使い方を場面と例文と会話例で!
この章では
- ・「和を以て貴しとなす」を使う場面。
・使い方を短文の例文で。
・「和を以て貴しとなす」を用いた会話例。
を解説します。
「和を以て貴しとなす」を使う場面は?
「和を以て貴しとなす」
を使う場面は、いさかいが生じている場面や、不穏な空気が流れて、一触即発?
そんな場面を想定してしまいます。
具体的には以下の場面を考えてみました。
場面➀ | ビジネスの現場での会議の紛糾 |
場面➁ | 地域のコミュニティーの会合 |
場面➂ | 家族のだんらん |
場面➃ | 遺産相続などの金銭が絡む問題の場面 |
場面➄ | 国家間の問題解決 |
ビジネスや家族の問題は、いうなれば
「和を以て貴しとなす」
に落ち着くかもしれませんが、最近の風潮として、金銭がらみや酷寒の紛争はどうにも、話し合いではどうにもならない場面が多いような印象を受けます。
対立点が大きければ、安易な妥協はできないのかもしれませんが、もう少しどうにかならんのかな~~とは思います。
「和を以て貴しとなす」の使い方を短文の例文で!
以下の例文で。
例文➀ | 和を以て貴しというが、いくら話し合っても平行線では意味がないのでは? |
例文➁ | ここは折れて、相手を引き立たせておくのも、和を以て貴しの精神に準ずるか。 |
例文➂ | 和の精神と、礼の精神は対のもので、せっかくの和も礼がなければ成り立たないかもしれない。 |
例文➃ | 和を以て貴しとなすとは、議論を重ねることが、ビジネスの世界では大事だと言ってるような気がする。 |
例文➄ | この間俺の足を引っ張ったA部長。しかし謝罪は受け入れることに。和を以て貴しというしな~。 |
例文⑥ | 土地の境界は、国勢調査で確定済み。和を以て貴しと言っても、そんな余地はないと思うが。 |
「和を以て貴しとなす」
とはいっても、現実社会ではきれいごとでは済まないことが、実に多いと思います。
土地の境界なんて、話し合いの余地がないにもかかわらず、沢山のトラブルがありますし、私も経験しました。
が・・でもこの言葉は、人生の生きていくうえでは重要です。
全てが対立点ではないですから。
「和を以て貴しとなす」を使った会話例!
以下の会話例で。
話せばわかるという人もいるけど、話してもわからない人もいるよね~~。
んだ。一方的に自分の主張ばかりの人。聖徳太子の言葉を言ってあげたいよ。
そうね。「和を以て貴しとなす」にはあなたの考えは全く逆行しているってね。
いくら議論しても平行線。これ最後はどうなるのかな~~。
など。
親戚にこんな方いませんか?
諍いは嫌いですからね~~でも、このままではいけないな~という方。
「和を以て貴しとなす」の類義語(類語)と言い換えは「調和」!
「和を以て貴しとなす」
の類語(類義語)は以下。
調和 | 偏りや矛盾や衝突などがなく、互いがほどよく和合すること。 |
協和 | 互いに心を合わせて仲よくすること。 |
仲良きことは美しき哉 | 武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ)さんの色紙。 |
言い替え | 調和 |
類語の種類が、なかなか浮かばないので、上記3個だけで。
言い換えとして、適当だな~と思うのは
- 「調和」
です。
多くの場面で置き換えとして機能すると思います。
意味は以下の解説。
➀:ととのいやわらぐこと。偏りや矛盾や衝突などがなく、互いがほどよく和合すること。また、そうさせること。ちょうか。
➁:よくつりあうこと。
(日本国語大辞典より)
いい言葉だと思います。
こうありたいもの。
「和を以て貴しとなす」の反対語(対義語)は「対立」!
「和をもって貴しとなす」
の反対後(対義語)を考えてみました。
「仲良く出来ない」
「話し合いなんて必要ない」
何に訴える?
決まったことを受け入れる事ができない。
世界では、この言葉の反対のことが、あまりにも多いように感じます。
一言で例えるなら
- ➀:対立
➁:排他
です。
お互いに、譲り合わないことを指します。
他人事なら、傍目から見ていられますが、これがいざ自分だったらどうでしょうか?
ストレスたまって、どうしようのない状況かと。
一個選ぶなら
- 「対立」
で。
意味は以下の解説。
二つのものが反対の立場に立つこと。また、二つのものが互いに譲らないで張り合うこと。
(デジタル大辞泉)
まさに「和を以て貴しとなす」の反対にあると思います。
・・・・・・・・・・・
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「和を以て貴しとなす」を英語で表現!
「和をもって尊しとなす」
試しに検索で。
和をもって尊しとなす:cherish with peace
これでいいのかな?
他の英訳も。
和:Respect and Harmony
大切:Cherish
Cherish Respect and Harmony.
和をもって尊しとなす。
他には
Cherish the harmony among people.
同じ意味です。
相手の人々が対象として付いたのですが、とても英語でもいい響きです。
「和を以て貴しとなす」のビジネスとプライベートでの意義
「和を以て貴しとなす」
は日本の伝統的な価値観を表す言葉で、「和を重んじる」という意味です。
「和」
とは、平和や調和を意味し、争いを避け、共存共栄を目指す精神を表します。ビジネスやプライベートの場面での「和」の意義は大きいです。
ビジネスにおいては、組織内の人々が協力し合い、一緒に目標に向かって働くことが求められます。
そのためには、互いの意見を尊重し、異なる視点を認識することで、多様性を理解し、全体として調和を保つことが重要です。
また、クライアントやパートナー企業との関係でも、誠実さと尊重の精神をもって接することで、信頼関係を築き、良好なビジネス関係を維持します。
一方、
「プライベート」
では、「和を以て貴しとなす」は、家族や友人との関係を円滑に保つための基礎となります。
相手の意見や感情を尊重し、互いに理解し合うことで、健全な関係を保つことができます。
「和を以て貴しとなす」
は、単に平和や調和を追求するだけでなく、互いの違いを尊重し、多様性を受け入れ、共存を可能にするという精神を表しています。
この精神は、現代社会のあらゆる場面で重視すべき価値であり、これを適切に理解し、行動に反映させることで、より良い社会を築くことができます。
心地よく、平和に心の安寧を得ながら毎日を過ごすための
「基本」
にも感じます。
「和を以て貴しとなす」いい話!感想とまとめ!
「和をもって貴しとなす」
の上記の内容を以下の表にまとめてみました。
➀:意味 | 人と人とがむつまじく親しくすることを貴いものとする。 |
➁:語源と由来 | 聖徳太子と論語の説 |
➂:使う場面 | 対立や、反対にうまくまとまったとき |
➃:使い方を例文で | 和を以て貴しとなすとは、議論を重ねることが、ビジネスの世界では大事だと言ってるような気がする。 |
➄:類語 | 調和・協和・他 |
⑥:言い替え | 調和 |
⑦:反対語 | 対立 |
⑧:英語表現 | Cherish Respect and Harmony。 |
意味のおさらいです。
人と人とがむつまじく親しくすることを貴いものとする。
(ことわざを知る辞典)
人々が協調することの重要性を述べたことば。
(故事成語を知る辞典)
辞書の説明は上記ですが、この言葉はいろんな解釈があり、また奥の深い意味を内包したなんとも難解な言葉に感じます。
基本は上記の意味でも、その前後の言葉を解釈するにつれ、どんどん深まっていくイメージ。
そのために、座右の銘や好きな言葉に上げる方が多いのかと。
私も大好きな言葉の一つです。
確かに、人間生きていくには
「和」
はとても大事。
対立ばかりでは何も生まれませんし、それでは極端な話、行き着く先は「怨恨の連鎖」に感じます。
「和を以て貴しとなす」
はシンプルでいい言葉。
この言葉、日常噛み締めていたいものだな~~と思います。
「和を以て貴しとなす」の良いお話!私の人生!
「和をもって貴しと為す」
いいことばですね。
何事もこうであってほしいのですが、世の中なかなかこうはならないことが多いと感じます。
話し合いに寄らず、実力行使が多い事例も多数。
話し合いが通じる相手と、通じない相手があるんだな。
これは、お国対お国でも同じこと。
身近に感じれば、親戚同士の諍いなども、最近あったな~~と。
聖徳太子の生きた時代は、まさにお国の体を成していない時期で、決まりごとが何もない時代だったのかな‥多分。
それが必要だったんだと思うのですが、第一条の冒頭に
「一曰。以和爲貴、無忤爲宗。」
を持ってきたのは、このことがまずは基本。
裏を返せば、対立ばかりでこれが(和)なかった。
そうも言ってるような気がするんだな~~
わが身に、周辺で生きていくには、社会に同化していかないと・・それにはこの
「和」
の精神は大事なんだな~~と、改めて感じた次第です。
皆さんは如何ですか?
・・・・・・・・・・・・・・・
率先垂範とは?
でも物事はこうあるべきだな。
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これは最初読めなかった。
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まして意味なんぞ、想像でできなかったが、なるほど~~の世界でした。
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ヘッダーの写真はわたしが撮影した、中尊寺の瓦の一コマ。