「会議が煮詰まる」とは？意味と誤用を例文で正しく理解する
「会議が煮詰まる」は前向きな意味を持つ表現です。
- ①議論が整理され結論に近づく状態
②停滞を表す言葉ではない
③行き詰まるとの混同は誤用
④例文で正誤が分かる
会議での正しい使い方を解説します。
Contents
結論｜「会議が煮詰まる」は前向きな進展を示す言葉
話し合いが進み、結論が見えてくる状態。
結論から言うと、
停滞や行き止まりを意味する表現ではありません。
この点を誤解したまま使うと、意図とは逆の印象を与えてしまいます。
ポイントを整理すると次のとおりです。
- ・会議の論点が整理されている
・意見が出そろい収束に向かっている
・決断や結論が見えてきている
「煮詰まる」
は、時間がかかっていること自体を否定する言葉ではありません。
むしろ、十分に
「議論が積み重なった」
結果として使われます。
会議が長引いているからといって
「煮詰まっている＝進まない」
と捉えるのは誤りです。
「会議が煮詰まる」が使われる正しい文脈
「会議が煮詰まる」は、
感情的な対立や停滞を表す言葉ではありません。
正しい文脈の特徴は以下のとおりです。
- ・意見が一通り出尽くしている
・論点や選択肢が整理されている
・次に何を決めるかが明確になっている
たとえば、
「会議が煮詰まってきたので、結論をまとめよう」
という使い方は自然です。
一方、
「会議が煮詰まって動かない」
という表現は、本来の意味から外れます。
「進展しているかどうか」を基準に考えると、使い分けがしやすくなります。
なぜ「会議が煮詰まる」は誤解されやすいのか
「会議が煮詰まる」が誤解されやすい理由は、
・「時間がかかる」
・「苦しい」
という感覚と結びつきやすいためです。
実際には、進展していても負荷が高いと、停滞しているように感じてしまいます。
誤解が生じやすい要因は次のとおりです。
- ・会議時間が長引いている
・意見の対立が一時的に激しい
・決断前で緊張感が高まっている
しかし、これらは必ずしも行き詰まりを意味しません。
むしろ、結論に近づく過程で起こりやすい現象です。
「進んでいるが大変な状態」と「止まっている状態」を切り分けることが重要になります。
❌ 誤用例｜「会議が煮詰まる」を停滞の意味で使うケース
議論が進み、結論が見え始めた状態を指す言葉。
以下は、「会議が煮詰まる」を
本来の意味とは異なり、停滞や行き詰まりの意味で使っている例です。
＊煮詰まると行き詰まるの違いと誤用の説明はこちら！
❌【会議・打合せ】
1．会議が煮詰まってしまい、まったく結論が出なかった。
2．議論が煮詰まって動かず、時間だけが過ぎていった。
3．会議が煮詰まって行き詰まる状態になっている。
4．煮詰まった会議のせいで、次の判断ができなかった。
5．会議が煮詰まり、これ以上進められない状況だ。
＊停滞を表しており「行き詰まる」が適切です。
❌【社内報告】
1．本日の会議は煮詰まっており、進展はありません。
2．煮詰まった会議内容のため、結論を先送りしました。
3．議論が煮詰まって混乱している印象でした。
4．会議が煮詰まり、方向性を見失いました。
5．煮詰まった結果、判断ができませんでした。
＊前進していない状態を誤って表現しています。
❌【プロジェクト】
1．定例会議が煮詰まって、作業が止まっています。
2．煮詰まった会議の影響で工程が遅れています。
3．会議が煮詰まり、対応策が出なくなりました。
4．議論が煮詰まって手詰まり状態です。
5．煮詰まった会議のせいで調整が進みません。
＊進展がない場面での誤用です。
❌【経営・意思決定】
1．経営会議が煮詰まってしまい、重要な判断を下せない状態です。
2．方針を決める会議が煮詰まり、決断を先送りしています。
3．経営陣の会議が煮詰まって動かなくなりました。
4．意思決定の場が煮詰まって、現場が混乱しています。
5．会議が煮詰まり、経営判断が止まっています。
＊停滞・決断不能の意味で使われており誤用です。
❌【トラブル・クレーム対応】
1．対応方針の会議が煮詰まって、収束の見通しが立ちません。
2．クレーム対応の会議が煮詰まり、打開策が出ませんでした。
3．問題対応の会議が煮詰まって行き詰まっています。
4．緊急会議が煮詰まり、判断ができない状態です。
5．会議が煮詰まってしまい、対応が後手に回りました。
＊行き詰まりを表す場面での誤用です。
❌【文書・報告書】
1．会議が煮詰まっているため、結論は未定と報告しました。
2．煮詰まった会議内容のため、判断を見送ります。
3．会議が煮詰まり、次回へ持ち越すと記載しました。
4．煮詰まった結果、結論が出なかったと報告しています。
5．会議が煮詰まっている状況を文書で共有しました。
＊停滞を示しており「行き詰まる」が適切です。
⭕ 正当例｜「会議が煮詰まる」が説明として成立するケース
議論が進み、結論が見え始めた状態を指す言葉。
以下は、「会議が煮詰まる」を
議論の整理・結論接近を表す言葉として正しく使っている例です。
⭕【会議・打合せ】
1．意見が出そろい、会議が煮詰まってきました。
2．論点が整理され、会議が煮詰まった段階です。
3．会議が煮詰まったので、結論をまとめます。
4．煮詰まった会議内容をもとに決裁に進みます。
5．十分に議論し、会議が煮詰まったと判断しました。
＊結論に近づく前向きな進展を示しています。
⭕【社内報告】
1．本日の会議は煮詰まり、方向性が明確になりました。
2．煮詰まった会議結果を資料に反映しました。
3．会議が煮詰まったため、次工程に進みます。
4．議論が煮詰まり、判断材料がそろいました。
5．煮詰まった内容をもとに方針を決定します。
＊整理・集約が進んだ状態を表しています。
⭕【プロジェクト】
1．検討会議が煮詰まり、実行フェーズに移行します。
2．会議が煮詰まったことで作業内容が明確になりました。
3．煮詰まった議論を踏まえて工程を確定します。
4．会議が煮詰まり、役割分担が固まりました。
5．十分な議論により会議が煮詰まりました。
＊実行に向けた段階を示す表現です。
⭕【経営・意思決定】
1．経営会議が煮詰まり、最終判断を行う段階に入りました。
2．意思決定に向けて会議が煮詰まってきています。
3．経営方針についての会議が煮詰まり、結論が見えました。
4．重要事項の会議が煮詰まり、決裁に進みます。
5．経営判断の前段階として会議が煮詰まりました。
＊結論接近の段階を表す正当な使い方です。
⭕【トラブル・クレーム対応】
1．対応策の検討会議が煮詰まり、具体策が固まりました。
2．問題対応の会議が煮詰まり、方針を決定しました。
3．再発防止策について会議が煮詰まってきました。
4．クレーム対応会議が煮詰まり、次の行動が明確です。
5．検討を重ねた結果、会議が煮詰まりました。
＊整理・集約が進んだ状態を示しています。
⭕【文書・報告書】
1．会議が煮詰まったため、決定事項を文書で共有します。
2．煮詰まった会議内容を議事録に反映しました。
3．会議が煮詰まり、報告書を最終版としました。
4．煮詰まった議論を整理して提出します。
5．会議が煮詰まった結果を資料にまとめました。
＊前向きな進展を説明する正当な用法です。
判断基準｜「会議が煮詰まる」と言ってよい場面
判断の基準は、会議が前に進んでいるかどうかです。
時間がかかっていても、内容が整理されていれば「煮詰まる」と表現できます。
- ・論点が整理されている → 煮詰まる
・結論や判断が近い → 煮詰まる
・意見が出ない・止まっている → 行き詰まる
「苦しい会議＝煮詰まっている」
と感じがちですが、重要なのは精神的な負荷ではなく、成果や合意に近づいているかです。
- ・進展しているなら煮詰まる
・止まっているなら行き詰まる
と考えると、誤用を防げます。
言い換えで安全に伝える方法
「会議が煮詰まる」
という表現は正しくても、相手によっては
「誤解」
される可能性があります。
その場合は、言い換えを使うのが安全です。
・行き詰まる → 停滞している／打開策が見えない
特に文書や報告書では、抽象的な表現よりも
具体的な状態をそのまま言葉にする方が誤解を防げます。
場面に応じて、使わない判断も正解です。
＊「煮詰まる」と「進まない」の使い方で誤用にならないための使い方の説明と例文はこちら！
「会議が煮詰まる」の正しい意味と使い方｜誤用を避ける最終整理
ここでは、「会議が煮詰まる」という表現について
・意味
・誤用
・判断基準
を実務目線で整理しました。
- ・「会議が煮詰まる」は前向きな進展を表す言葉
・停滞や手詰まりの意味では使わない
・行き詰まるとの混同は誤用になりやすい
・進展しているかどうかで判断すると分かりやすい
・迷う場合は具体的な言い換えが安全
正しく使えば、会議の状況を的確に伝えられます。
「会議が煮詰まる」は一歩前進だ！
言葉は、使い方ひとつで印象が変わる。
今日もこの猫は、静かに日本語を見つめている。
以前の記事でも書いたが、３０～４０年前の会議は（私が勤務した会社）非常に面白い風景でした。
しかし、誰もが真剣そのものでした。
喧々諤々で、大越で罵り合いながらも、自分の意見を堂々と言い合う。
そこには、平も課長も部長もなかったですね。
「今日は来期の目標についてです。」
なるほど、来季の目標ですね。
各部門、アイディア（目標）を持って来い、そういうお達しです。
そんなものはどうせ、工場長のさじ加減でどうにでもなるもので、一種のイベントのようなもの。
で・会議に進め方に不満。
なかなか確信に入らない。
だらだらとした会議・・当然煮詰まる議論はなし！
んで・・工場長が夜も１０時だし、この辺で後は持ち帰って云々・・
すると、ある部門の係長が・
「いや、工場長それはおかしい。最初に決まらなければ朝まででもやると言ったはず。自身の発言ですから煮詰まるまで朝までも何時でもやりましょう」
そういったもんだから、あたりのみんなはシーンと。
「おもろい・・と思って俺も言った」
「お～～Aさんの言うとおりだな。これはやはり朝まででもやらないと、何せ来季の目標一年のイベントがかかってるからね。さて・・遅いけどそれなら飯でも取りませんか？」
と・・オカスカタ・・
結局朝の３時までやりました。
結局まとまらず工場長の差配での決着。
なら最初からやるな！
とみなさん不満だらけの会議で、これこそ行き詰まった会議でした。
皆さんはこんな会議の経験はないですか？
＊一番上のヘッダーの写真はわたしが撮影した、五月の田沢湖の写真です。
とてもきれいな風景で、山並みが湖面に反射してとてもきれいでした。
