「可能性を否定できない」は逃げか含みか?曖昧表現が残す余白の正体

「可能性を否定できない」は慎重さを示す一方、判断を保留した印象も残します。
- ・判断主体が見えにくい
・確率が示されない
・責任の位置が曖昧
・結論が先送りされるニュースで多用される背景を、言葉の構造から整理します。
スポンサーリンク
Contents
「可能性を否定できない」の基本構造:否定を避ける二重のクッション

断定するだけの根拠がなく、
判断を保留したまま幅を残す表現として使われます。
「可能性を否定できない」は、一見すると冷静で慎重な判断を示す表現です。
しかし、
まず「可能性」は幅の広い概念で、ゼロに近いものから
「高確率」
までを含みます。
そこに「否定できない」を重ねることで、話し手は
「判断を断定せず」
に済みますが、聞き手には
「“どの程度なのか”」
が見えにくくなります。
- ・「可能性」:範囲が広く、確率や根拠を含まない
・「否定できない」:肯定も否定もしない中間表現
・主体(誰がどう判断したか)が文中に出にくい
・結論が保留され、解釈の余地が残る
この構造は、誤りを避けたい場面では有効ですが、情報としては
「輪郭」
がぼやけやすい。
ニュースや公式発言で多用される背景には、この
「責任と断定を同時に避けられる構文」
の特性があります。
なぜ違和感が出るのか:聞き手が「結局どうなのか」と感じる理由
この表現に違和感を覚える人が多いのは、慎重さが示される一方で、
「判断の位置」
が見えないからです。
聞き手は
・「可能性があるのか、ほとんどないのか」
・「現時点で何が分かっているのか」
を知りたいのに、その情報が省かれています。
結果として、言葉の
「“慎重さ”」
が、
「“判断回避”や“責任回避”」
のように受け取られることがあります。
- ・確率や根拠が示されない
・判断時点(現状/調査中/将来)が不明確
・話し手の立場が見えにくい
・聞き手が不足情報を推測で補う
特にニュースでは、見出しや短い発言として
「切り取られる」
ため、この表現だけが独り歩きしやすくなります。
その結果、話し手の意図以上に
・「曖昧」
・「歯切れが悪い」
という印象が残ることがあります。
聞き手にどう受け取られるか:立場によって変わる解釈の幅
「可能性を否定できない」は、
専門家は
「現時点で排除できない仮説」
と理解しますが、一般の聞き手は
「起きるかもしれない」
と広く解釈しがちです。
この専門的含意と日常的理解のズレが、誤解を生みやすくします。
- ・一般視聴者:起こり得る事態として受け取る
・当事者:自分に影響が出る前提で考えてしまう
・メディア:注目を集める表現として強調しやすい
・組織内部:判断保留の合図として理解する
同じ言葉でも、文脈や期待される情報量によって意味が変わるため、
「違和感」
は言葉そのものよりも、受け取り側の補完作業から生まれます。
❌ 誤用例|「可能性を否定できない」を結論代わりに使ってしまうケース

肯定とも否定とも取れる言い方が、
聞き手に混乱と不満を残します。
※ここでの誤用は、「可能性を否定できない」という表現だけで説明を終え、
現状・根拠・判断段階を示さない使い方を指します。
❌ 日常会話
1.予定が変更になる理由を説明せず、可能性を否定できないと言って話を終えた。
2.問題が起きた原因に触れず、可能性を否定できないとだけ述べた。
3.具体的な状況を話さず、可能性を否定できないと繰り返した。
4.相手の不安に応えず、可能性を否定できないとだけ伝えた。
5.判断材料を示さず、可能性を否定できないと結論づけた。
6.見通しを語らず、可能性を否定できないという言葉で済ませた。
→ 情報不足がそのまま残る形です。
❌ ビジネス会話
1.業務への影響を説明せず、可能性を否定できないと述べただけだった。
2.判断根拠を示さず、可能性を否定できないと発言した。
3.対応方針を示さず、可能性を否定できないで終えた。
4.どの工程に影響が出るかを言わず、可能性を否定できないとした。
5.確率や条件を示さず、可能性を否定できないと説明した。
6.検討状況を共有せず、可能性を否定できないとまとめた。
→ 判断が先送りされた印象が残ります。
❌ ビジネスメール
1.調査状況を書かず、可能性を否定できないとだけ記載した。
2.前提条件を示さず、可能性を否定できないと結んだ。
3.対応予定を示さず、可能性を否定できないという文言で終えた。
4.影響範囲を明かさず、可能性を否定できないとした。
5.判断時期を示さず、可能性を否定できないと書いた。
6.事実関係を列挙せず、可能性を否定できないとまとめた。
→ 文書では曖昧さがより強調されます。
❌ 会議
1.議論の整理をせず、可能性を否定できないで締めた。
2.判断材料を出さず、可能性を否定できないと述べた。
3.次の検討事項を示さず、可能性を否定できないとした。
4.影響評価を省き、可能性を否定できないと結論づけた。
5.検証状況を共有せず、可能性を否定できないとした。
6.方向性を示さず、可能性を否定できないで終えた。
→ 会議の目的が達成されにくくなります。
❌ ニュース・政治
1.会見で根拠を示さず、可能性を否定できないと発言した。
2.調査段階を説明せず、可能性を否定できないと述べた。
3.判断時期を明かさず、可能性を否定できないとした。
4.影響の範囲を示さず、可能性を否定できないと語った。
5.具体策に触れず、可能性を否定できないで終えた。
6.見通しを示さず、可能性を否定できないと繰り返した。
→ 見出し化で不安が拡大しやすくなります。
❌ 文章
1.分析過程を書かず、可能性を否定できないで締めた。
2.事実整理を省き、可能性を否定できないと結論づけた。
3.前提条件を示さず、可能性を否定できないと記した。
4.根拠を列挙せず、可能性を否定できないとまとめた。
5.検討範囲を示さず、可能性を否定できないと書いた。
6.読者判断に委ねる形で、可能性を否定できないとした。
→ 読み手に解釈を委ねすぎています。
⭕ 正当例|「可能性を否定できない」を判断段階の説明として使う

可能性を残すだけでは説明にならず、
判断や対応の方向性が見えなくなります。
⭕ 日常会話
1.現時点では情報が不足しており、今後変わる可能性を否定できない状況です。
2.条件次第では影響が出るため、可能性を否定できないと考えています。
3.現状把握の途中段階なので、可能性を否定できないという表現になります。
4.具体的な判断はこれからですが、現時点では可能性を否定できません。
5.状況が変われば結果も変わるため、可能性を否定できないとしています。
6.今ある情報では断定できず、可能性を否定できない段階です。
→ 判断の「位置」が示されています。
⭕ ビジネス会話
1.調査が完了していないため、現時点では可能性を否定できない状況です。
2.条件整理が途中であり、影響が出る可能性を否定できません。
3.数値確認中のため、可能性を否定できないと説明しています。
4.前提条件が未確定なため、可能性を否定できない判断です。
5.複数要因が絡むため、可能性を否定できないと整理しています。
6.次回の検証結果次第で判断が変わる可能性を否定できません。
→ 判断保留の理由が補足されています。
⭕ ビジネスメール
1.現在調査中のため、現段階では可能性を否定できない状況です。
2.前提条件が確定次第、改めて判断いたしますが、今は可能性を否定できません。
3.影響範囲を精査中のため、可能性を否定できないとご説明しています。
4.検証途中であり、断定を避ける意味で可能性を否定できないとしています。
5.条件整理が完了していないため、可能性を否定できない段階です。
6.判断材料が揃い次第、改めてご報告いたします。
→ 曖昧さの理由が明示されています。
⭕ 会議
1.検証項目が残っているため、可能性を否定できない段階と整理しました。
2.判断材料が不足しているため、可能性を否定できないと共有しました。
3.追加データ待ちのため、可能性を否定できない結論です。
4.条件が確定していないため、可能性を否定できないとまとめました。
5.現状分析の途中であり、可能性を否定できないとしました。
6.次回検討まで判断を保留する意味で使っています。
→ 会議の進行意図が伝わります。
⭕ ニュース・政治
1.調査が継続中であり、現時点では可能性を否定できないと説明しました。
2.条件整理が未完了なため、断定を避け可能性を否定できないと述べました。
3.影響評価が進行中で、可能性を否定できない段階と説明しました。
4.判断時期を明示したうえで、可能性を否定できないと語りました。
5.前提条件の変化により、可能性を否定できないとしています。
6.調査完了後に判断する前提で、可能性を否定できないと述べました。
→ 発言の射程が限定されています。
⭕ 文章
1.現時点の資料では断定できず、可能性を否定できないと記述しています。
2.検証途中であることを前提に、可能性を否定できないとまとめました。
3.条件整理が未完了なため、可能性を否定できないとしています。
4.前提条件が変わり得るため、可能性を否定できないと結論づけました。
5.追加調査の必要性を示したうえで、可能性を否定できないと書きました。
6.判断段階を明示し、可能性を否定できないと整理しています。
→ 読み手が判断材料を把握できます。
なぜニュースになるのか:政治・行政発言との相性
「可能性を否定できない」は、
「政治・行政・会見の文脈」
と非常に相性の良い表現です。
理由は、発言時点で情報が完全に揃っていない状況が多く、
「断定を避けつつ説明責任を果たす」
必要があるからです。
この表現は、
「判断を保留」
しながらも、検討対象であることを示せるため、公式発言で選ばれやすくなります。
- ・調査・協議が進行中で断定できない
・法的・制度的な前提が未確定
・発言が記録・報道として残る
・後の修正や追加説明の余地を残せる
評価や批判というより、発言環境の制約がこの言葉を選ばせています。
一方で、見出しや切り抜きでは文脈が省かれ、
「曖昧さ」
だけが強調される傾向があります。
言い換え・類語整理:態度ではなく情報を足す
言い換え・類語整理──「可能性を否定できない」を“情報の具体化”で置き換える
「可能性を否定できない」は、断定を避けつつ含みを残せる反面、受け手によっては
・「結局どっちなのか分からない」
・「逃げ道を作っている」
と受け取られやすい表現です。
そこで言い換えは
「“態度の柔らかさ”」
ではなく、
「**根拠・条件・幅(どの程度)**」
を足して情報を具体化する方向で整理すると、誤解が起きにくくなります。
*目的別(何を伝えたいか)
1.慎重さの表明:「現時点では判断材料が不足している」
2.リスクの共有:「○○の場合に影響が出る見込みがある」
3.見立ての提示:「現状のデータでは△△寄りだが、変動要因がある」
*状況別(どこで使うか)
1.社内・会議:「追加確認が必要な論点が残っている」/「前提が崩れた場合の代替案も並行する」
2.対外説明:「確認中の点があり、確定情報は○日までに更新する」
3.文章・レポート:「仮説としては△△が有力だが、検証は継続する」
*近い類語(ニュアンス差)
1.「断定はできない」=結論保留の姿勢が前面に出る
2.「見込みがある」=可能性をやや前向きに示す
3.「想定される」=前提条件が暗黙になりやすいので補足が効く
*参考例文
1.現時点の情報ではA案が有力ですが、前提が変わる可能性があるため結論は保留します。
2.影響が出る場合は「供給遅延が続いたとき」に限られる見込みで、追加データを確認中です。
まとめ|「否定できない」が生む余白をどう読むか
「可能性を否定できない」は慎重さを示す一方、判断の位置が見えにくい表現です。
違和感は言葉よりも、情報の省略から生まれます。
- ・確率や根拠が示されにくい
・判断主体が見えにくい
・ニュースでは文脈が削られやすい
構造を理解すると、受け取り方が整理できます。
「可能性を否定できない」って肯定の否定の否定?なんとムズイ!

言葉は、使い方ひとつで印象が変わる。
今日もこの猫は、静かに日本語を見つめている。
「可能性を否定できない」
って、結局
「可能性がある」
ってことですよね。
なんとも、言葉遊びにも感じ言い回しに感じます。
単純にそういえばいいものを、言葉遊びに近言い回しでその場を取り繕うイメージを持ってしまいます。
しかし、それなりに意味がある言葉なんだな~~これが。
「断定を避けつつ説明責任を果たす必要」
ってこれもムズイ表現。
可能性があるとは断定できない。
しかしその可能性を排除することもできない。
結局どっちよ??
と言いたいところですが、あいまいさを持たせる場面もあるということなんだべな~~
「この案件を断定するには、協議が同時進行のため、どちらの可能性もある。」
「よって、あらゆる可能性を否定するものではない」
こんな感じでしょうか。
意味は分かりますが、そんな場面普通の個人ではそうそう無さそうに感じます。
やはりこれは
「ニュースな言葉」
なんだと思います。
皆さんは如何ですか?
*一番上のヘッダーの写真はわたしが撮影した、日本三大渓流猊鼻渓の春5月の風景写真です。
出航前の舟の風景・・とてもいい風景です。
※イメージとして、AIで作成した画像を使用しています。









