「的を射る」と「的を得る」はどちらが正しい?混同しやすい表現を解説

「的を射る/的を得る」は、
要点を正しく捉えているかを示す表現です。
- ①:本来正しいのは「的を射る」
②:「的を得る」は誤用とされる
③:会話では混同されやすい
④:ビジネスでは注意が必要
意味と使い方を例文で解説します。
Contents
結論|正しいのは「的を射る」で「的を得る」は誤用

正しい表現は「的を射る」。物事の要点や核心を正確に捉えることを意味する。「的を得る」は誤用とされるため、使い分けに注意が必要。
まず結論を明確にします。
正しい日本語表現は
**「的を射る」**で
あり、「的を得る」は本来誤用とされてきました。
一方、「的を得る」は、「得る」という語感から一見正しそうに感じられますが、伝統的な国語辞典や用例では認められていない表現でした。
この違いのポイントは次の通りです。
・得る=手に入れる
意味構造を考えると、
「要点を射抜く」
という比喩には「射る」が自然です。
まずは、「正用は『的を射る』」という点をしっかり押さえる必要があります。
「的を射る」の意味と語源を含む基本理解
「的を射る」は、弓術や射撃の世界に由来する表現です。
つまり語源的には、「狙った中心を正確に射抜く」という意味です。
そこから転じて、
・議論の要点を捉える
・問題の核心に触れる
・本質を外さない
といった意味で使われるようになりました。
この表現の特徴は次の通りです。
・評価が肯定的
・論理的で客観的
・文章語として定着
語源を理解すると、
「的を射る」
は単なる感覚的な褒め言葉ではなく、論点の正確さを評価する言葉であることが分かります。
比喩としての一貫性が、この表現の強みです。
なぜ誤用の「的を得る」が使われてしまうのか
「的を得る」
が広まった背景には、言葉の感覚的な分かりやすさがあります。
主な理由は次の通りです。
- ・「得る」の語感が肯定的
・「要点を得る」という連想
・会話で違和感が少ない
・「要点を得る」
・「理解を得る」
といった表現が一般的なため、「的を得る」も自然に感じられてしまいます。
しかし、比喩の元になっているのは
「射る」
という行為であり、「得る」ではありません。
そのため、「的を得る」は意味が通じる場面があっても、本来の語源構造から外れた表現である点に注意が必要です。
❌ 誤用例|「的を得る」を使ってしまうケース

弓を引き、的を正確に狙う猫の姿は、物事の核心を見極める様子を象徴している。「的を射る」は、要点を外さず捉えることを意味する表現。
「的を得る」
は口語では広く使われていますが、本来は誤用とされる表現です。
以下は、伝統的な用法から見て不適切とされる例です。
❌【ビジネス】
ビジネス文書や会議の場では、「的を得る」を使うと日本語としての正確さを疑われる可能性があります。
1.その指摘は非常に的を得ていると思います。
2.彼の説明は要点を押さえて的を得ています。
3.的を得た意見として評価されました。
4.この提案は課題の核心を突いて的を得ています。
5.彼女の分析は論理的で的を得ている内容です。
❌【社内】
社内評価や報告書で使うと、文章語として違和感が出ることがあります。
1.部長の判断は的を得ていると感じました。
2.会議での発言は全体的に的を得ていました。
3.その説明は的を得た内容だと思います。
4.報告書は的を得ていて分かりやすいです。
5.そのまとめ方は的を得ている印象です。
❌【日常】
日常会話では意味が通じますが、正用とは言えません。
1.その意見、かなり的を得てるね。
2.今の話は的を得ていたと思うよ。
3.彼の言い方は的を得ている感じだ。
4.その説明は的を得ていて納得した。
5.まとめ方が的を得ていて助かった。
❌【メール】
メールでは文章として残るため、誤用が目立ちやすくなります。
1.ご指摘は的を得ていると存じます。
2.大変的を得たご意見だと感じました。
3.内容は的を得ており理解しやすいです。
4.ご説明は的を得ていて助かりました。
5.的を得たご提案をありがとうございます。
❌【SNS・発言】
公の発言では、日本語としての正確性が問われます。
1.このコメントは的を得ている。
2.その発言は的を得ていると思う。
3.まとめが的を得ていて分かりやすい。
4.意見としては的を得ている。
5.この分析は的を得ている。
⭕ 正当例|「的を射る」を使った正しい表現
「的を射る」
は、要点や本質を正確に捉えている場合に使われる正しい表現です。
以下は、語源と意味に沿った正当例です。
⭕【ビジネス】
会議や評価の場では、「的を射る」を使うことで、論点の正確さを的確に表現できます。
1.その指摘は課題の核心を的確に射ています。
2.彼の分析は現状を的確に射ていると感じます。
3.提案内容は問題点を的確に射ています。
4.この意見は全体像を的確に射ていると思います。
5.報告書は要点を的確に射た内容でした。
⭕【社内】
社内評価でも、「的を射る」は文章語として自然です。
1.部長の判断は現実を的確に射ていました。
2.会議での発言は論点を的確に射ていました。
3.まとめ方が状況を的確に射ています。
4.指摘内容は問題点を的確に射ています。
5.説明は要点を的確に射ている印象です。
⭕【日常】
日常会話でも、正用を意識すると表現が引き締まります。
1.その意見は状況を的確に射ているね。
2.今の話は本質を的確に射ていると思う。
3.彼の指摘は問題点を的確に射ている。
4.説明が的確に射ていて分かりやすかった。
5.そのまとめ方は核心を的確に射ているよ。
⭕【メール】
文書では「的を射る」を使うことで、正確さが伝わります。
1.ご指摘は問題点を的確に射ていると存じます。
2.大変的確に射たご意見をありがとうございます。
3.内容は現状を的確に射ていると感じました。
4.ご説明は論点を的確に射ており理解しやすいです。
5.提案は課題を的確に射ていると判断しました。
⭕【SNS・発言】
公の場でも、「的を射る」は評価表現として適切です。
1.この分析は問題の核心を的確に射ている。
2.その発言は状況を的確に射ていると思う。
3.まとめが論点を的確に射ていて分かりやすい。
4.意見としては的確に射ている内容だ。
5.指摘は本質を的確に射ている。
「的を射る」:言い換え表現と使い分けの考え方

的を見据えて矢を放つ構図が表すのは、迷いのない判断。「的を射る」は、状況や問題の本質を正確に突く場面で使われる言葉。
「的を射る」
は便利な表現ですが、比喩がやや強いため、場面によっては言い換えが適しています。
特に
「公的文書」
や丁寧な表現が求められる場面では、より説明的な言い回しが有効です。
言い換え表現としては、次のようなものがあります。
- ・要点を押さえている:やや柔らかい表現
・本質を捉えている:抽象度が高い場面
・論点が明確である:説明的にしたい場合
・核心に触れている:評価を強めたい場合
これらを使い分けることで、文脈や相手に応じた調整が可能です。
「的を射る」
は評価の強さが明確な言葉であるため、言い換えによって印象を調整する意識が重要になります。
ビジネスで使う際に押さえるべき注意点
ビジネスで「的を射る」を使う際は、評価の言葉としての強さを意識する必要があります。
この表現は、相手の意見や提案を高く評価する意味を持つため、使い方によっては
「過剰な賛辞」
に聞こえることがあります。
注意すべきポイントは次の通りです。
- ・評価対象が明確か
・主観的になっていないか
・文書のトーンと合っているか
特に報告書や公式文書では、感覚的な比喩表現を避けた方がよい場合もあります。
その際は、言い換え表現を使って
「客観性」
を保つことが有効です。
「的を射る」
は便利ですが、評価語としての重みを理解した上で使うことが重要です。
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*「的を射る」と同様に、似たようなな意味合いを持つ言葉として、
「余地がある」も誤解されやすい日本語表現です。
*「的を射る」と同様に、似たようなな意味合いを持つ言葉として、
「確信犯」も誤解されやすい日本語表現です。
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まとめ|「的を射る/的を得る」を正しく使い分ける視点
「的を射る」
は、物事の要点や本質を正確に捉えていることを示す正しい表現です。
一方、
「的を得る」
は意味が通じる場面があっても、語源や用例の観点では誤用とされてきました。
- ・正用は「的を射る」
・誤用として広まったのが「的を得る」
・文章では正確さを優先する
これらを意識することで、日本語としての信頼性が高まります。
「的を射る」が何で的を得るになるんだ?これは明らかに・・

言葉は、使い方ひとつで印象が変わる。
今日もこの猫は、静かに日本語を見つめている。
「的を射る」
が正解で「的を得る」は間違い。
これは私も知っていました。
スカスだ・・
これが間違ってる人結構いたな~~
その人にただすのも面倒だし、上から目線的な人にみられても嫌だし、そんな意味なんだろうな~~と私は放っておきました・・これまで。
いや‥これからもです。
皆さんはこんな誤用に出会ったときどうします?
思い切って注意します?
なかなかで決まませんよね。
いちいちそんなことを注意していたら、人間関係までおかしくなるかも・・・最悪。
スルーした方がいいかもしれません。
でもね~~
この「的を射る」/「的を得る」は結構多かったね~~
そんな印象を私は持っています。
皆さんは如何ですか?
*一番上のヘッダーの写真はわたしが撮影した、秋扇湖の春の風景写真です。
湖面に反射する山の風景がきれいです。
このダム湖の水没林はとくに有名です。
















