姑息の意味とは？「ずるい」は誤解？本来の意味と誤用を解説
「姑息」の意味を正しく説明できますか？
実は「ずるい」「卑怯」という意味は本来の用法ではありません。
- ①：姑息は一時しのぎという意味
②：悪意や性格を表す言葉ではない
③：若い世代ほど誤用しやすい
④：正しい使い方と例文を解説
意味を誤ると、強い誤解を招くことがあります。
Contents
結論｜「姑息」は性格を責める言葉ではない
「姑息」は
「ずるい」「卑怯」という意味ではなく、
その場をしのぐための一時的な対応を表す言葉です。
結論から言います。
「姑息」は「ずるい」「卑怯だ」という意味の言葉ではありません。
本来の意味は
行為の内容や手段を表す言葉であり、人格や性格を非難する表現ではありません。
しかし現代では、
①：「姑息なやつ」
②：「姑息な手段」
といった形で、相手を否定する強い言葉として使われる誤用が広く定着しています。
このズレを理解していないと、意図せず相手を強く
「攻撃してしまう可能性」
があります。
「姑息」の本来の意味と語源
「姑息」
は、中国古典に由来する言葉で、本来は否定的な性格評価を含まない表現です。
語の成り立ちと意味を整理すると、次のようになります。
②：「息」：やすむ・とどまる姑息：一時的に状況を保つ、その場をしのぐこと
この言葉が表すのは、
③：長期的・根本的な解決ではない
④：応急的・暫定的な対応
とりあえず現状を維持するための手段
といった、行為や対応の性質です。
本来の用法では、「姑息」は
✔ 良い・悪いを判断する言葉ではなく
✔ 人の人格を責める表現でもありません
冷静に
・「対応の限界」
・「一時的措置」
を説明するための言葉だった、という点が重要です。
なぜ「ずるい」という意味で誤用されるのか
「姑息」が
①：「ずるい」
②：「卑怯」
という意味で使われるようになった背景には、いくつかの要因があります。
③：語感・漢字の印象が強い
音や字面が否定的に感じられやすい
④：人を非難する文脈で多用された
「姑息なやり方」「姑息な手段」など
⑤：意味説明なしで広まった
メディアや会話で誤用が繰り返された
その結果、
へと、意味の重心がずれていきました。
特に若い世代では、
・姑息＝セコい
・姑息＝ずる賢い
という理解がほぼ定着しており、本来の意味に触れる機会が少なくなっています。
誤用が誤用として意識されにくい点が、この言葉の最大の特徴です。
❌ 誤用例【25例・若い表現】
本気の解決ではないけれど、
今はこれでなんとかする。
そんな「姑息さ」を表した一場面。
＊以下に五用の例文を作成してみました。
❌【人間関係】
1．あいつのやり方、マジで姑息じゃない？
2．姑息なことばっかりしてるよね。
3．そんな姑息な手使うの引くわ。
4．姑息すぎて信用できない。
5．正面から来ないの、姑息だと思う。
❌【学校・学生】
6．テスト前だけ勉強するの姑息だよね。
7．バレないようにやるの姑息すぎ。
8．提出期限ギリで出すの姑息。
9．先生にだけいい顔するの姑息じゃん。
10．裏技使うの姑息って感じ。
❌【仕事・バイト】
11．上司にだけ報告するの姑息だな。
12．責任逃れの姑息な対応。
13．ミス隠すの姑息すぎ。
14．楽な方に逃げるの姑息。
15．そのやり方、姑息じゃない？
❌【SNS・ネット】
16．炎上避けの姑息な言い訳。
17．姑息な編集でごまかしてる。
18．都合悪いコメント消すの姑息。
19．姑息な逃げ方してる。
20．再生数稼ぎの姑息な手。
❌【日常会話】
21．そんな姑息なことしなくても。
22．姑息な手使わないでよ。
23．正々堂々やれよ、姑息だな。
24．姑息な感じがして無理。
25．姑息な人って思われるよ。
知らないうちにこういう表現していない？
考えてしまいました。
⭕ 正用例【25例・若い表現】
＊ただし使い方。
⭕【仕事・計画】
1．これは姑息な対応だから、後で見直そう。
2．姑息な方法で今だけ乗り切った。
3．時間稼ぎとしては姑息だけど仕方ない。
4．姑息な処置で様子を見る。
5．応急的に姑息な対応を取った。
⭕【日常・生活】
6．とりあえず姑息な対策でしのいだ。
7．雨が止むまで姑息に対応する。
8．今日は姑息なやり方で済ませた。
9．姑息だけど今はこれしかない。
10．一時的に姑息な方法を使う。
⭕【説明・文章】
11．この方法は姑息で根本解決ではない。
12．姑息な処置にとどまっている。
13．対策としては姑息だと言える。
14．姑息な対応では限界がある。
15．あくまで姑息的な手段だ。
⭕【比喩的】
16．姑息な延命策にすぎない。
17．姑息な時間稼ぎだ。
18．姑息な回避策を取る。
19．姑息な修正で対応した。
20．姑息な方法で乗り切る。
⭕【ビジネス】
21．短期的には姑息だが効果はある。
22．姑息な施策で当面しのぐ。
23．姑息な対応を重ねている。
24．これは姑息な解決策だ。
25．姑息な処置に頼らざるを得ない。
＊姑息な手段とはできるだけ無縁でいたいもの。
言い換え表現と使い分け
「姑息」
は誤用が非常に多く、日常会話では意図せず強い非難として受け取られがちです。
そのため、場面によっては
「言い換え表現」
を使ったほうが安全です。使い分けの目安を整理します。
①：一時しのぎ／その場しのぎ
本来の意味に最も近く、会話でも分かりやすい表現。
②：応急的な対応／暫定的な措置
ビジネス文書や説明文に適している。
③：短期的な対策
長期的解決ではないことをやわらかく伝えられる。
④：場当たり的な対応
計画性のなさを指摘したい場合に有効。
一方、
- ・人を責めたい
・ずるさを強調したい
ときに「姑息」を使うのは本来の意味から外れます。
👉 対応の性質を説明したいときに限定して使うのが正解です。
ビジネス・日常で使う際の注意点
本当は一時的な対応なのに、
見る側の印象で
「ずるい」と誤解されてしまうこともある。
「姑息」
は意味を誤解されやすいため、ビジネスや日常で使う際には特に注意が必要です。
使い方次第では、相手を強く否定した印象を与えてしまいます。
①：人格批判として使わない
「姑息な人だ」と言うと、性格を非難する言葉に聞こえます。
②：感情的な場面では避ける
口論や叱責の中で使うと、誤用が助長されやすい。
③：ビジネスでは説明語として使う
「姑息な対応」「姑息な処置」など、行為に限定する。
④：若い世代には誤用前提で受け取られる可能性がある
意図が伝わらない場合は、言い換えを優先する。
👉 「姑息」は冷静な評価語であり、強い感情をぶつける言葉ではありません。
「姑息」が誤解されやすい日本語である理由
「姑息」
は、意味そのものよりも言葉の印象によって誤解されやすい日本語です。
実際の意味と、受け取られ方のズレが大きい点が、この言葉の特徴だと言えます。
誤解が生じやすい理由を整理すると、次の通りです。
①：音や漢字の印象が強い
「姑」「息」という字面が、否定的・陰湿な印象を与えやすい。
②：人を非難する文脈で使われがち
会話やメディアで、人格批判の言葉として使われてきた。
③：本来の意味に触れる機会が少ない
語源や正しい意味を学ぶ場面がほとんどない。
その結果、「姑息」は
へと、理解がすり替わっていきました。
この言葉は、意味を知らないまま使うほど誤解を広げやすい語です。
だからこそ、正しい意味を知って使うか、あえて使わない判断も重要になります。
・・・・・・・・・
関連記事
＊煮詰まる・・議論伯仲・・しかし・・こちらの誤用と正確な使い方を例文を交えて紹介しました。
＊「敷居が高い」・・こちらの誤用と正確な使い方を例文を交えて紹介しました。
・・・・・・・・・・・
まとめ｜「姑息」は行為の性質を表す言葉
「姑息」
は「ずるい人」を表す言葉ではなく、
・一時的
・応急的な対応
を示す言葉です。
誤用が定着しているからこそ、正しく理解して使うことで、
日本語表現に確かな差が生まれます。
経験上「姑息」な手段を多用していなかったか？
言葉は、使い方ひとつで印象が変わる。
今日もこの猫は、静かに日本語を見つめている。
これは私のことです。
「姑息な手段」
を使う場面ってどんな時だ？
私の経験上はやはり・・
「切羽詰まった状態」
の時。
万事休す・・しかしギブアップはしたくない。
その場しのぎでもいいから時間を稼ぎたい。
その後は何とか場の雰囲気や後の流れを見てから。
こんな場面で、本意ではないが急場しのぎの手段とある程度の（私の懐の範疇）お金で済むなら多少の事は・・
などということですね。
あるいは、予備がないからとりあえず修理品での対応で‥しかし抜本的ではなく姑息ではあるが、この急場しのぎでは・・
そんな場面は結構あったな～～
んで・・
何とか姑息な手段でも役に立った・・が・・やはり姑息な手段は通用しなかった！
両方を多数経験してきました。
世の中働いてサラリーマンやって、経験長いとこんなこともありますよ。
「姑息な手段」
であっても、姑息のプロになれば、あいつならどうにかしてくれる・・そういうこともあるかも。
できない人は、その姑息な手段すらも思いつきませんから。
（本来の意味から外れるかもしれませんが、とりあえず考え方として）
皆さんは如何ですか？
＊一番上のヘッダーの写真はわたしが撮影した、岩手県の玉川ダムの下流域の写真です。
川の色がとても神秘的で好きな一枚です。
